2019/07/30
口下手なエンジニアは必読!? 「最強のエンジニアになるための話し方の教科書」の読書感想
誰のための本?
口下手なエンジニアのための本です。
- 普段通り会話しているだけなのに、何故か嫌われてしまう。
- 会話が盛り上がらない
- 話しかけづらい人だと思われてしまう。
あなたがもしこんな悩みを抱えているとしたら、この本はあなたの助けになるでしょう。
人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていく上で、会話というものはとても大事なウェイトを占めます。
うまく会話が出来ない場合、あなたが素晴らしい技術の持ち主だとしても正当に評価を受けることは難しいかもしれません。
本書の著者である亀山雅司さんは以下のように述べています。
多くのエンジニアは技術力ばかり向上させていますが、仮に技術力が200%になっても伝える力がゼロなら
技術力(200%) × 伝える力(0) = 真のパフォーマンス(0)
なのです。p.12
エンジニアは技術力を高めるだけでなく、その技術を正しく人に伝える力が必要です。
もしあなたがコミュニケーションを取るのが苦手と感じているとしたら、この本を手に取ってみて下さい。
ラポールという考え
この本では「ラポール」というキーワードが頻繁に出てきます。
ラポールとは臨床心理学で用いられている用語です。
クライアントとセラピストが互いに信頼し合うことが出来ている状態を指します。
エンジニアの会話ではこのラポールを構築することが大切だと、筆者の亀山さんは述べています。
亀山さんはエンジニアの会話は相手に自分の主張を認めてもらうためのものであり、会話は最初から対立しているものとしています。
ところが、エンジニア本人は「単に正しいことを正しいと言っているだけ」「技術は1つだから他に伝え方はない」と考えており、相手を攻撃し、傷つけ、怒らせているという自覚がありません。
p.15
これにはかなりショックを受けました。
自分も仕事中、人と会話するときに正しい主張を行うことばかり気を付けて、相手の考えや状況を慮ることをしていなかったかもしれないと感じました。
ラポールの構築には相手との共通点を見つけること、と亀山さんは述べています。
自分と相手は同じだ!とお互いに認識することで信頼関係が構築されるとしています。
自分の主張を通すことが会話の目的だとどうしても相手の主張を否定したくなりますが、そこはぐっとこらえて肯定してみましょう。
会話を円滑に進めるには相手を認め、尊重することも大事なんだなという学びになりました。
エンジニアの話し方の特徴
この本ではエンジニアが起こしがちな会話の特徴を7つ紹介しています。
エンジニアと上司・同僚などの会話が紹介されており、その会話のどこが駄目だったのか、会話例から抽出されています。
- 上司の言ったはずを否定して溝を深める
- 技術の解決策を提案しても技術力を評価してもらえない
などなど、思い当たる節はあるでしょうか?
僕は多少ありました。とてもかなしい。
エンジニアはこういった話し方しちゃうよなあ…って思いながら読んでいました。
エンジニアがしがちな会話での間違いを客観的に見れるため、人から問題点を言われるよりよっぽど気付きがあるなと感じました。
話すために聞く
つまるところ、会話上手な人は、相手を喋らせることが上手なんだなと感じました。
「ラポール」を構築し話しやすい空間を生み出し、相手が答えやすい質問をする。
相手が間違っていると感じても否定するのではなく、やんわりと自分の意見が相手の意見になるよう調整する。
ここまでやれば十分会話上手だと言えるでしょう。
自分の意見を通したいがために、自分ばかり話してはいけません。
相手を気持ちよく喋らせることで会話がスムーズに成り立つんだと思います。
この本ではエンジニアがしてしまいがちな会話の間違いと、それのどこが間違いだったかが書いてあります。
また、ではどのように改善すれば会話が円滑に進むかのヒントもたっぷり書いてあります。
自分だったらどのように会話をしてしまうかを考えながら読み進めると非常に楽しい本だろうなと感じました。